能プロジェクト〜小学生のための能楽入門プログラムの開発と研究                                                      
   同志社大学


プロジェクト

報告



能プロが目指したもの

活動報告

活動の検証

能プロが生み出した価値とは


画像&映像

春学期

秋学期


メンバー紹介

杉田 紫野

中谷 裕美

二階堂 高志

稲葉 巧

吉田 蘭

瀬戸 慎之助

大元 寧子

高崎 扶美子



山田 和人(科目担当者)

弘田 一恵(元能プロTA)


協力者


リンク

「つなぐ機関」としての役割

 

 

能プロの位置づけ

 

 本プロジェクト(能プロ)が果たした役割を端的に言い表すならば、それは小学校と能楽師を結ぶコーディネーターのようなものであったと言える。小学校側が他の団体に申し込んでイベントや勉強会を開くというケース、また、能楽師から他の団体に働きかけて鑑賞会を催したり、体験学習を開いたりするケースは多く見られるが、能プロは、仲立ちとなる私たちが自らワークショップの企画を作り出し、それを小学校・能楽師双方の意見も交えて最終的な企画にするという点で、上記に述べた2つのケースとは異なっている。
簡単ではあるが、「つなぐ」という役割をメインにした年間プロジェクトを図に表すと、下記のようになる。

 

【能プロ】

        1. 能、児童に関する知識・情報を集める
        2. それに基づき、企画を作成・提案
        3. 両者の意見を織り交ぜた、新たな企画を作成
        4. 第1回WS実施(2006年7月26日)
        5. 第1回WSを振り返り、改善点を確認
        6. 両者のつながりを更に深める企画を作成・提案
        7. 第2回WS実施(2007年1月10日)
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 両者の間に立つことにより、今までは接点のなかった同志社小学校と能楽師をつなぐことができた。一度接点ができると、次は能プロの仲介なしに双方が連絡を取り合えるようになる。この1年間、能プロがつないできた両者の関係が、今後は直接的なものとなり、そんな両者の関係から新たな取り組みが生まれるかもしれないのである。

 

 

 

 

一般の「つなぐ機関」の調査・能プロの取り組みと

の比較研究報告

 

 

 前項で述べたとおり、能プロは能楽師と小学校をつなぐ、コーディネーター的役割を果たしてきた。ここでは、その「つなぐ」という取り組みが一般の機関ではどのように行われているか調査し、能プロの活動と比較した結果を報告する。

 まず、一般的に、能楽を含む伝統芸能の普及を目的とした活動には、

  1. 学校が、その分野でのプロに依頼し芸術鑑賞や体験教室を授業に取り入れる
  2. 国や各自治体の、文化活動を奨励する機関が体験教室等を催す
  3. プロが自主的に体験教室等を催す

の3種類が主流である。
 しかし、私たちはこれらの取り組みが伝統芸能の普及に対して、必ずしも効果をあげているとは言えないのではないかと考える。なぜなら、これらの内容は参加者に対して一方的で、その場限りで終わってしまうものが多いからだ。また、参加者も多くは参加費を払わなければならず(1の場合を除く)、あらかじめ能楽に興味を持っていなければ、参加するまでには至りにくい。


従来の取り組みの欠点を補えるような役割を果たしたいと考えた私たちは、第4の存在として、「伝統芸能の担い手と受け手をつなぐ」という活動に着目した。


一般にこのような活動を行っている機関を調査したところ、HPや情報誌を利用して様々な文化・芸術活動の体験教室等を紹介し、主催者と参加希望者の仲立ちを行っている機関があることが分かった。


この場合、上記の機関が各種催し物を主催するのではなく、そのような取り組みを行う団体を募集し、それらの団体が直接参加者を募ることのできる場を提供する、というのが主な活動となっている。参加者側も、一つの文化・芸術分野に絞って体験教室等の実施情報を探すのではなく、情報誌を見たら面白そうだったから、何かやってみたいと思ったから、たまたまスケジュールが空いていたから、など、気軽にこれらの情報に触れることが出来るため、参加に繋がる確率はより高いといえるであろう。


したがって、先に挙げた従来の取り組みに比べれば、文化・芸術活動に興味のある人々がより気軽に参加しやすいシステムとっているといえるが、体験教室等の内容については、従来通り実施する団体の企画に任せられており、参加する側の意見は取り入れられにくいままである。


そこで、我々はこれまで挙げてきた難点を克服しながら、能の担い手と受け手を「つなぐ」という目標を達成するために、独自の方法を模索した。


我々の活動を簡単に説明すると、小学校に対してWS実施の企画書を持ち込み、WSへの出演をお願いする能楽師と参加する小学校の双方と打ち合わせを行い、よりニーズに合った企画を作り上げていく、というものであった。


これだけを見ると、先に挙げた1のような取り組みとあまり変わらないように感じられるかもしれない。しかし、従来は小学校が能楽師に依頼して芸術鑑賞等を実施する場合、その内容は能楽師に任せられ、小学校側が具体的に指示することはない。それは、ある程度能楽の知識を持っていなければ、内容にまで踏み込んで要望を伝えることは困難であるためと考えられる。芸術鑑賞の内容を企画しようと思えば、膨大な時間と手間がかかるし、能楽師の協力も必要になる。


よって、今回は我々が企画の開発と研究という最も重要な役割を請け負い、小学校・能楽師双方の間に立つことによって、芸術鑑賞(今回はWS)の内容に両者の意見や要望を取り入れることが可能となり、両者の関係を従来よりも近づけることができたのではないかと考えている。さらに、参加者を自由に募るのではなく、小学校に企画を持ち込むことによって鑑賞者は確実に確保され、また、その小学校と能楽師をつなげることによって、我々の取り組みが終了した以降もそのつながりが継続されれば、質の高い芸術鑑賞を継続して行うことが出来る。


我々の活動は、従来行われてきた取り組みの難点を克服し、更に未来へとつなげていく布石を置くことができたのではないだろうか。











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